2026.07.15 令和8年度税制改正② 『こどもNISAの創設と税務上の注意点』 令和8年度税制改正大綱において、2027年から17歳以下の未成年者も利用できる「こどもNISA」の創設が盛り込まれました。従来の「ジュニアNISA」と比較して、引出し制限の緩和や非課税保有期間の無制限化など、より柔軟な資産形成制度となることが予定されています。 一方で、「子ども名義の非課税口座だから安心」と考えていると、贈与税や相続税に関する思わぬ税務上の問題が生じる可能性があります。今回は、こどもNISAを活用する際に押さえておきたい主な税務上の注意点をご紹介します。 1.贈与税の「年間110万円」ルール こどもNISA口座への資金拠出は、税務上、親や祖父母から子どもへの贈与として取り扱われます。暦年課税では、年間110万円の基礎控除が設けられており、想定されている年間投資枠(60万円)はこの範囲内となります。 しかし、同一年中に現金の贈与や教育資金など、贈与税の対象となる贈与を受けている場合には、それらを合算して110万円を超えた部分について贈与税が課税されるため注意が必要です。 2.「名義預金」と判断されるリスク 口座名義が子どもであっても、実質的な管理・支配を親が行っていると判断された場合には、親の相続開始時に「名義預金」として親の相続財産に含まれる可能性があります。このようなリスクを避けるためには、贈与の事実を客観的に示せるよう、次のような対応が有効です。 • 子どもが理解できる年齢になったら、口座の存在や運用状況を本人に伝えておく。 • 毎年、贈与契約書を作成し、贈与の事実を記録・保管する。 • 親の口座から直接投資口座へ入金するのではなく、一度子ども名義の預金口座を経由するなど、資金の流れを明確にしておく。 3.相続税の「生前贈与加算」への影響 2024年1月1日以降、相続税における生前贈与加算の対象期間は、従来の3年から7年に延長されています。そのため、親や祖父母からこどもNISA口座へ贈与した後、加算対象期間内に贈与者が亡くなった場合には、その贈与財産が相続財産に加算され、相続税の課税対象となる場合があります。 相続税対策も視野に入れてこどもNISAを活用する場合には、この制度を十分理解したうえで、早い時期から計画的に活用を検討することが重要です。 こどもNISAは、子どもの将来に向けた資産形成を支援する有効な制度となることが期待されています。一方で、贈与税や相続税との関係など、税務上の留意点も少なくありません。制度を正しく理解し、適切な手続きを行うことで、将来の税務リスクを未然に防ぐことができます。導入をご検討の際は、お気軽に当事務所までご相談ください。 (記事の内容は作成日現在の法令・関係規則等をもとに作成しております。)