2023.06.14 国税庁公表データに見る相続税申告・調査等の実態について 『令和3事務年度における調査状況及び申告実績』 毎年12月中旬頃になると国税庁は前事務年度の相続税の調査状況及び申告実績を公表します。昨年公表された令和3事務年度における調査状況及び申告実績によると、被相続人数は143万9,856人、このうち相続税額のある申告書の提出に係る被相続人数は13万4,275人、相続税の課税割合は9.3%で基礎控除額の引き下げのあった平成27年以降過去最高となりました。株価や土地(路線価)の価格は引き続き高騰しているため、令和4年以降もこの記録を更新していくことになりそうです。 この課税割合とは被相続人全体のうち相続税額の発生した割合を示しているため、およそ亡くなった10人に1人の割合で相続税が発生していることとなります。 一方、相続税の実地調査件数は6,317件で、新型コロナ等の影響で低水準となりましたが、文書や電話等による簡易な接触による接触件数は14,730件で過去最高となり、両方を合わせると申告書を提出した人のうちおよそ6人に1人の割合で実施されていることがわかります。また、実地調査の際はおよそ10人に9人が、簡易な接触では4人に1人の割合で申告漏れや評価誤りの指摘を受けており、1件当たりの追徴税額はそれぞれ886万円と47万円でした。 ただし、上記は相続税額のある申告書についての割合ですので、配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例等により相続税額が発生しなかった申告書の件数や、無申告の件数は加味されておりません。したがって、相続税申告書の提出が必要な割合はもっと高いこととなります。ちなみに、無申告事案の調査件数は576件で1件当たりの追徴税額は1,293万円とかなりの高水準でした。 ここまで公表データをもとに相続税申告・調査等の実態を詳しくご紹介いたしましたが、相続税については税務調査を受ける割合は非常に高く、また実施されると高い確率で少なくない追徴税額を納めていることがお分かり頂けたかと思います。税務調査は無作為に行われているわけではありません。申告書の計算誤りや過小申告・無申告の疑いがある場合に行われます。 したがって、調査に入られても問題のない適正な申告書を作成することが重要です。さらには調査に入られないように事前にコツを押さえた申告書の書き方や添付資料の付け方もありますので、申告が必要かどうかの判断も含めて、相続税に強い税理士に早くからご依頼頂くことをおすすめいたします。 (記事の内容は作成日現在の法令・関係規則等をもとに作成しております。)