2025.02.17 令和7年度税制改正① 『iDeCo関する変更点について』 令和6年12月20日に、与党より「令和7年度税制改正大綱」が公表されました。今回の コラムでは年々利用者が増えてきているiDeCoに関する変更点に関して取り上げます。 1. 月額掛金の上限引き上げ ・第1号被保険者(個人事業主やフリーランスの方など) 月額68,000円→75,000円 ・企業年金に加入していない会社員 月額23,000円→62,000円 ・企業年金に加入している会社員 企業年金と合わせて55,000円→62,000円 月額掛金の大幅な引き上げにより、小規模企業共済並みの所得控除を受けるこが出来るようになります。特に高額所得者はその重要性がますます高まると考えられます。 2. 退職所得控除の変更(いわゆる「5年ルール」が「10年ルール」へ変更) 令和8年1月以降支払の退職一時金より、退職手当金等(老齢一時金を除く)の支払いを受ける年の前年以前9年内(現行4年内)に他の老齢一時金を受けている場合には、当該老齢一時金については、退職所得控除額の計算における勤続年数の重複期間は排除することとされます。 これまでは60歳でiDeCoの老齢一時金を受け取り、5年目以降の65歳以降で勤務先の退職金を受け取れば、退職所得控除額の計算上、重複期間の排除をする必要がありませんでしたが、今改正で上記の期間が10年目以降の70歳以降まで伸びてしまいました。 なおiDeCoの老齢一時金よりも先に退職金を受け取る場合には、退職金の受け取り後19年経過しないと、退職所得控除額の計算上、重複期間の排除をすることができません。 (19年ルール) iDeCoの老齢一時金に対する退職所得控除額は、拠出金額ではなく拠出期間に依存します。原則中途解約不可という性質上、その拠出期間は長期に渡る傾向にあります。また、昨今の転職業界の活況を鑑みますと、勤続年数に依存する勤務先からの退職金に係る退職所得控除額は減少傾向にあると推察され、会社員の最大の退職所得控除枠はiDeCoになる可能性が非常に高いと考えられます。 さらには、今後退職所得控除に関する税制改正も予定されており、今回の改正については改悪という評判もありますが、いずれにしろ「iDeCoは出来るだけ早く加入し退職所得控除の額をできるだけ大きくする(確保する)」ことが得策かと考えられます。 (記事の内容は作成日現在の法令・関係規則等をもとに作成しております。)