2024.07.11 令和6年度税制改正③ 『中小企業向けの賃上げ促進税制の変更点について』 令和6年度税制改正により、賃上げ促進税制は大企業・中堅企業(特定法人)・中小企業向けの3つの措置に改組されることとなりました。そのうち中小企業に関する賃上げ税制の変更点に関して取り上げます。 1. 控除できなかった金額を最大5年間繰り越しできる措置を新設 中小企業は赤字の事業者が多い傾向があります。従来の賃上げ促進税制では、赤字の中小企業は減税の効果が得られにくいことから賃上げを実行しにくい状況にありました。 そこで令和6年度の税制改正では、賃上げを行った企業が赤字の場合、最大5年間は減税を繰り越しできる措置を導入する方針が示されました。 繰り越し期限内に黒字を達成すれば減税による恩恵を受けられるため、中小企業の賃上げ促進につながることが期待されます。 2. 子育てとの両立・女性活躍支援による控除の上乗せを新設 子育てとの両立や女性が活躍できる環境整備を進める企業、具体的にはくるみんやえるぼし(2段階目)以上の認定を受けている企業に対して、新たに5%の税額控除を設ける措置が新設されます。 従来の制度では中小企業の場合、賃上げ率によって合計控除率は最大40%でしたが、5%の税額控除が追加されることで最大45%まで引き上げられることになります。 3.適用時期 令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度が対象となります。 (個人事業主は令和7年から令和9年までの各年が対象となります。) ※令和6年度改正を受けた税制のガイドブックについては、令和6年7月を目途に経済産業省のホームページで公表になる見込みです (記事の内容は作成日現在の法令・関係規則等をもとに作成しております。)