2022.11.14 インボイス制度について③ 『適格請求書発行事業者以外の事業者からの仕入等は課税仕入とはならない 』 これまで課税事業者A社は仕入先が課税事業者であっても免税事業者であっても、消費税を支払っている以上、支払消費税分が課税仕入になっていました。課税仕入とは納税すべき預かり消費税から差し引くことのできる支払消費税のことをいいます。 しかし、改正により適格請求書(インボイス)の保存が、課税仕入の要件になるため、インボイスを発行できない免税事業者からの仕入は課税仕入とはならないため、消費税は支払っていないことになってしまいます。 例えば、A社の税込売上が110万円(消費税10万円)で、免税事業者B社からの税込仕入が55万円(消費税5万円)の場合、A社は5万円の消費税は支払っていないことになります。A社は預かった消費税10万円から支払った消費税5万円を差し引くことはできません。そうすると、従前は消費税の納税が5万円だったところが、改正後は10万円になります。 A社にとっては不利ですが、国税庁からすると、結果として今まで徴収できなかったB社の益税分である5万円が徴収できるようになります。本制度の趣旨は、複数税率制度の下で適正な課税を確保するための仕組みではありますが、この「益税」を防ぐ効果も大いに期待されています。 近年は、IT、美容院、塾、その他様々な企業で社内の従業員を外注化し、また、フリーランスの増加を背景にこのような益税の恩恵を受ける事業者が増加傾向にあるため、そこにメスが入った形です。そして、制度が適正に行われるようになりシステム面の進化が進むと、最終的には国税庁が今まで補足しきれなかったような売上(所得)の補足も容易となると想定されます。 ※インボイス制度実施にあたっての経過措置 激変緩和の観点から免税事業者等の仕入についても、インボイス実施後6年間は仕入税額控除相当額の一定割合を控除可能な経過措置が設けられています。 ・令和5年10月~令和8年9月 80%控除可能 ・令和8年10月~令和11年9月 50%控除可能 (記事の内容は作成日現在の法令・関係規則等をもとに作成しております。)