2023.11.10 年末調整とは 『仕組みと節税について』 年末調整とは、毎月の給与や賞与から天引き(控除)された所得税の合計額と、本来納税すべき年税額の差額を精算する手続です。所得税は暦年課税ですので、その年の1月1日から12月31日までの1年間の所得(給与・賞与や各種手当)の合計額に対して課税されます。毎月の給与や賞与から控除している所得税はあくまで概算の金額ですので、年末調整で計算された正しい年税額との精算が必要となるわけです。 年末調整の対象となるのは、原則として、勤務先に「扶養控除等申告書」を提出している人ですが、給与の収入金額が2,000万円を超える人など、一定の人は年末調整の対象とはなりません。また、この精算の手続をするためには、「扶養控除等申告書」のほか、必要に応じて「基礎控除申告書」、「配偶者控除等申告書」、「所得金額調整控除申告書」、「保険料控除申告書」、「住宅借入金等特別控除申告書」などを勤務先に提出する必要があります。 所得税の計算は以下の通りとなっており、「所得控除」や「住宅ローン控除」を計算するために上記の申告書を会社に提出します。 ① 給与収入 ― 給与所得控除 = 給与所得 ② 給与所得 - 所得控除 = 課税所得 ③ 課税所得 × 税率 - 住宅ローン控除などの税額控除 = 所得税額 例えばiDeCoなどは「所得控除」の小規模企業共済等掛金控除に該当しますので、制度を利用すると所得控除が大きくなるため、積み立てをしながら節税にもなります。また、ふるさと納税は「所得控除」の寄附金控除に該当し、所得税の節税になるだけでなく、所得税から控除しきれなかった金額を住民税からも控除できるお得な制度となります。ただし、一定の控除限度(上限)額を超えた分は控除を受けられないので注意が必要です。 税額控除で代表的なものが住宅ローン控除です。税額控除は課税所得に税率を乗じて計算した税額から直接控除できるためより節税効果は高いものとなります。 このようにサラリーマンにおいては、所得控除や税額控除をどう大きくするかが節税のポイントにつながってきますが、キャッシュアウトを伴うものが多いので手持ちの預金と相談しながら制度を利用することをお勧めいたします。 (記事の内容は作成日現在の法令・関係規則等をもとに作成しております。)