2024.04.09 令和6年度税制改正① 『中小企業倒産防止共済の改正について』 実務上、節税手段として用いられることの多い「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」ですが、令和6年度税制改正(令和5年12月22日閣議決定)により、令和6年 10 月1日以後の共済契約の取り扱いについて、税務上の制限がかかる形となりました。 ◆中小企業倒産防止共済とはどのような制度であるか 取引先が倒産したことによる連鎖倒産や経営困難に陥ることを防ぐため、毎月一定の掛金を積み立てておくことで、万が一の際に積み立てた掛金総額の10倍(最高8,000万円)まで共済金の貸付が受けられる制度となっております。 制度の趣旨としては連鎖倒産等を防ぐためのものでありますが、「掛金の全額が費用(損金)となる」、「月額掛金を任意の月数分前払いすることが可能である」ことから、実務上では節税を目的とした活用の方が多く見られます。 ◆令和6年度税制改正による今後の取り扱いに関して 中小企業倒産防止共済は、40か月以上掛金を払い込めば積立額が100%戻ります。そのため、解約手当金の支給率が100%に達する、加入後3年目・4年目に解約が多くなる傾向にあり、解約してすぐに再加入する行動変容が発生しました。 そこで、中小企業倒産防止共済の契約を解除し、再契約をした場合、解除の日より2年を経過する日までの間に支出した掛金は損金又は必要経費に算入できないこととなる制限が設けられます。 上記の制限は令和6年10月1日以後の解約から適用されるため、10月以降に解約の予定があり、再契約をしようと検討されている場合は注意が必要となります。また、以前のコラムでも記載しておりますが、場合によっては9月以前に解約をすることが有効な場合も考えられますので、ぜひ一度身近な専門家である税理士にご相談してみてください。 (記事の内容は作成日現在の法令・関係規則等をもとに作成しております。)